
みんなが持ち寄ったひとしずくで、成長していくCafe 平成29年7月26日。広島への原子爆弾投下から72回目の夏にある一つのお店が平和記念公園近くの土橋町にオープンしました。その名は「Social Book Cafe ハチドリ舎」。
その店主である安彦恵里香さんを先生に、このハチドリ舎で店への思い、そして参加者の思いを語り合う場としての授業が行われました。
まずは、安彦先生の自己紹介からお店の原点、立ち上げまでの苦労話、「ハチドリ舎」の名前の由来などを聞かせていただきました。
茨城出身の普通の女の子だった24歳の頃に「わたし、このままでいいのか?」という思いからピースボートに参加しました。世界を巡る中で日本国内外にかかわらず、社会の問題について「どうにかしたい」という思いが高まっていきます。その思いからピースボートのスタッフとなり、2007年の異動で広島と出会いました。
そして、ハチドリ舎のようなお店を作りたいと思うようになったのは、ひろしまジン大学の授業やさまざまなイベントを企画していく中で、人とのつながりを作ることができても、その後に継続する場所がない。意見を語り合う場がない。ゲストを呼んでイベントを開く場や、本が置いてあり生き方をクリエイトする場を作りたいなどの思いが、きっかけとなりました。もちろん、平和記念公園から徒歩で来られる場所にというこだわりもありました。
そうはいっても、立ち上げの際にはさまざまな苦労があったようです。物件探しから内装や家具をどのようにするかまで、前も後ろもわからないまま動き出しますが、「聞いてみるまで、あきらめない!」と、夢中で動くことで周りが巻き込まれて開店へと進んでいきました。
資金集めにはクラウドファンディングを活用。ハチドリ舎を立ち上げるにあたって同じ思いの人がいると信じて、「魂の叫び」を「本気で熱意を込めて訴えること」で、協力をお願いしました。その結果、153万1000円の資金が集まり、協力してくれた人々の思いもハチドリ舎という形にできています。
「ハチドリ舎」の名前の由来は、「ハチドリのひとしずく」というエクアドルのお話。「森が燃えていました。森の生き物たちはわれさきにと逃げ出す中で、クリキンディという名のハチドリだけは水を口に含んで、その火事を消すために、飛んでいくのだけれども、そのハチドリを見て、動物たちは『そんなことをして意味があるわけないじゃないか』って言うんだけれども、ハチドリは『私は、私にできることをしているだけ』と答えた」という短い話があります。「そのお話の続きを作りたい!」という思いで、この名前にしました。
第2部は、「ハチドリ舎で○○という話がしたい」というお題で、生徒の皆さんにアイディアを出してもらいました。
平和記念公園近くということで「原爆」「平和」「戦争」というキーワードが出されました。それ以外にもみんなが笑顔になれる話、みんなの駆け込み寺、夢の話、命の話、もやもや思っていることの話などなどさまざまな意見が出されました。中には、来年広島で開催される「吃音世界合同会議」を念頭に置いた親カフェなど具体的な提案も出されました。
この授業を通して、生徒の皆さんのみならず、世間には社会の課題に対して自分の意見を表明したいという人が多くいることを感じました。折しも、授業が行われた時間帯にあるラジオ番組で長崎出身の人気アーティストも原爆の日を前に、この「Social Book Cafe ハチドリ舎」について、語っていたようです。
みんなの意見のひとしずくを集められるこの「ハチドリ舎」が「広島のこの地だけでなく、日本中、世界中に広まっていけば、平和になるはず」と安彦先生は今後の展望を話してくれました。
誰でも、自分の考えのひとしずくを持ち寄って、お互いが語り合い、みんなが生き方を考え、成長できる場、これが「Social Book Cafe ハチドリ舎」です。
■レポート/柳 雄輔 ■写真/三上 亮
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<授業詳細>
遠い国で起きている戦争の話や 身近な町の選挙の話・・・ 商店街がどんどん閑散としていく地域の現状や 最近よく耳にするようになった子どもの貧困の話・・・ こういう話って一見マジメだから、職場の同僚とすると引かれちゃいそうだなぁ、、、と敬遠したり、 ちょっと気にはなるけど、こんなこと話したら意識高い系とか言われそうだから、まいっか、と・・・・ 社会ゴトについて「語らう」のって、何だかんだで、ちょっと身構えちゃいますよね。 今回の授業