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ピース・コミュニケーション ~『平和』は、いつも伝わらない~

2010/08/07

 

ピース・コミュニケーション ~『平和』は、いつも伝わらない~


「世の中と自分との接点をつくりたい」「原宿にいるような若者が気軽に手に取れる新聞を」
という思いから若者向けのジャーナル・タブロイド誌『GENERATION TIMES』を発行してきた、
今日の講師である伊藤剛さん。
他にもシブヤ大学や、ハイジャック会議、紛争予防学の非常勤講師など、たくさんのことに携わっている。

すべてに共通すると感じたのは、彼が言う「伝えたいコトを伝わるカタチに」という言葉。
彼はまさにそのカタチをつくり続けている人だ。

はじめは戦争広告についてのお話。

「みなさんはクェートの15歳の女の子のスピーチを覚えていますか?」と映像を見せてくれる。

米国議会において、イラク兵が病院で赤ん坊を床にたたきつけたなど、涙ながらに惨状を証言した映像だ。
この証言で米国世論は一挙に反イラク色に染まり、湾岸戦争が起こるきっかけとなったと言われている。
しかし、この少女は駐米クウェート大使の娘で1度も母国クウェートに行ったことがない。

つまり、戦争へと誘引するようすべて仕組まれたウソの脚本が存在していたのだ。

この筋書きを描いたのは民間の広告会社。単純に利益を生むための仕事として。

ボスニア紛争で使われた言葉、「民族浄化(エスニッククレンジング)」もコピーライターが生み出した言葉だ。

「戦争の最初の犠牲者は真実である」
「国家の3つのM Money Military Media」
「戦争と広告代理店は、とても密接な関係にある」・・・印象的な言葉が続く。

過去の戦争や紛争において、メディアを利用して繰り広げられた「プロパガンダ戦略」。

ヒトラーの時代、ドイツにおいてメディアをとおして
プロパガンダが如何に戦略的に、そして「上手く」使われていたか。
具体的な映像や画像を用いて、その例を次々と教えてくれる。

戦争プロパガンダは、芸術家、知識人、クリエーターなどの表現者を組み込めば簡単に作り出せるという。
彼らが一番やりたいことは「表現」だからだ。戦時中の資金がない中で、一番表現ができる場が国家の仕事になる。
その時々の最高の表現がそこにある。だから、戦争広告はとても魅力的なものばかり。(不況下の現代にも同じことが言える)

ただ、反戦広告にもいいものがたくさんある、と画像を見せてくれながら、
「しかし、なぜ反戦広告で戦争は止まらないのでしょうか?それは伝えると伝わるの違いからなのではないのだろうか」と伊藤さん。


”他人は自分とは違う前提を持っている”

平和に関する報道やPRに限らず、日々私たちが何かを人に「伝えたい」と思うとき、
「コミュニケーション」しようとしているのに、
一方的な「プレゼンテーション」や、「インフォメーション」になってはいないだろうか?
伝える→伝わるようにするためには、相手がそれをどう受けとめ、その結果どのように変わって欲しいかまで、考察、洞察(INSIGHT)すること が大切だ。

ということで、後半はこれらを実際に考えてみるグループワークを行う。
5~6人のグループに別れ、一定の人々を仮定し、
その人々が何を前提としているのか、どんな心理状況か、などを洞察し、考察する練習をした。


そして、最後「紛争予防とはなにか」

例えば「防災」と「医療」は起こることを前提にしている。
では、戦争も起きる事を前提にしてみたらどうか?と考えた。

「僕が教えている授業の中で、紛争地の生徒たち全員で、第三次世界大戦PR会議をするんです。」
戦争が起きることを想像できたなら、防ぐ方法も自ずと見えてくるのではないか。


終わりに、あるコンセプトムービーが流される。
65年前の終戦からこれまでの間に、世界には数え切れないくらいの紛争や戦争が起きてきた。
年号・日付が早回しで流れて、それぞれの名称が表れては消えていく・・・。

こんなにたくさんの血が流されてきたんだと、思う。
それらが起きる前の日には、存在していたはずのものがあって、それらは、なくなってきた。

もしも戦争が起きたら、真っ先になくなるのは、きっと何気ない日常の暮らし。

あなたが失いたくない日常はなんですか?

と、

平和ってなんですか?は限りなく近いのだ、と感じた。

授業に参加した全員に、いまもこの問いかけが響いているはずだ。

(ひろしまジン大学スタッフ 安彦恵里香)

 

 

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<授業詳細>

2010年08月07日(土) 14時00分 ~ 17時00分   

教室:平和記念資料館 地下1階 会議室1

 

毎年、8月の広島ではさまざまな形の「平和」が語られ、そして伝えられようとします。 

しかし「平和を語る」、「平和を伝える」とはいったいどういうことなのでしょうか? 

歴史的にも、そして人間的にも忘れてはならない戦争の悲劇、原爆の実相。
あまりにも大きな出来事であったにも関わらず、いつしかそれらは色を失い、白黒の世界のもの、過去の出来事として日常のなかで忘却されてしまいます。

その忘却への抵抗として、そして真に平和な世界の実現のために、『NO WAR』や『LOVE & PEACE』のフレーズを唱えるだけでよいのでしょうか。

戦争の記憶、原爆の記憶を「カラー化」すること。
記憶のなかで「過去のもの」としないこと。

今回の授業は、「新しい時代のカタチ」の“きっかけ”を提案し続けるジャーナル・タブロイド誌『GENERATION TIMES』の編集長であり、シブヤ大学の理事の伊藤剛さんを先生にお迎えします。
伊藤先生は、東京外国語大学で紛争国からの留学生を対象に、「紛争予防に活用する広告的コミュニケーション技術=Peace Communication」を教えています。
実は、戦争を大きく促進することに使われてきたのが広告技術。俗に言う「プロパガンダ」ですが、それを紛争予防のために活用していくことを研究されています。

「伝える」と「伝わる」はどう違うのか? なぜ「反戦広告」は伝わらないのか?

広告的コミュニケーションの視点から、やがて戦争当事者がいなくなる時代に向けた伝え方をみなさんと一緒に考えてみたいと思います。

戦争にも、必ずある“前夜”。その夜が明けぬために、私たちにできること。
『ピース・コミュニケーション』を始めるきっかけになることを願って。


あなたにとって、「平和」とは何ですか?


【授業の流れ】(予定)
受付開始(13:30~)
第1部 講義:「平和はコミュニケーションできるのか?」
第2部 ワークショップ:メディアにおける映像や言葉のリテラシー・ワークショップ 

GENERATION TIMES >>> 

 

 

<先生>

伊藤剛 / シブヤ大学 理事

『ジェネレーション タイムズ』編集長 (有) ASOBOT 代表取締役 明治大学法学部卒(国際法専攻)。在学中は、ヨーロッパ、アジア、中東地域など世界各地を旅行。 卒業後、外資系広告代理店勤務を経て、2001年、『ASOBOT』を設立。03年には、東京メトロのフリーマガジン『metropolitana』、 翌年にはジャーナル・タブロイド誌『GENERATION TIMES』を創刊。 06年には、「街はキャンパス!」をコンセプトに『シブヤ大学』を発足し、『2007グッドデザイン賞』受賞(新領域デザイン部門)。 08年には、若者たちの不満から地域活性を行うプロジェクト『ハイジャック会議』を立ち上げるなど、 時代に向けたメッセージをクリエイトし続けている。 また、国立法人・東京外国語大学大学院『平和構築・紛争予防コース』では非常勤講師を務め、 ボスニア・イラク・アフガニスタンなど紛争当事国からの留学生に向けて、「平和構築・紛争予防に活用する広告的コミュニケーションのあり方」について教育・研究している。

 

今回の教室:平和記念資料館 地下1階 会議室1

住所:
〒730-0811広島市中区中島町1番2号
TEL: (082)241-4004
FAX: (082)542-7941
E-mail: hpcf@pcf.city.hiroshima.jp
HP: http://www.pcf.city.hiroshima.jp/


【最寄の駅等】
・バス
 広島バス吉島方面行 「平和記念公園」下車(徒歩1分)
・市内電車
 紙屋町経由広島港行 「中電前」下車(徒歩7分)
 宮島行/江波行 「原爆ドーム前」下車(徒歩5分)

広島市中区に位置する平和記念資料館の地下一階会議室です。

 

 

 

カテゴリ:【コミュニケーション/メディア】
言 語 : 日本語のみ
定 員 :40人

参加対象:どなたでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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