ラマダン1日(断食)体験!~わたしたちの知らないイスラムの世界〜

東広島で体験する、断食明けのゆうべ

土曜日の夕方、東広島・西条にある広島イスラム文化センターに、イスラム教徒の方たちが集まりました。イスラム教のカレンダーでは、日の出から日没までのあいだ断食を行う、ラマダンという期間があります。2019年は5月5日から6月4日までの1か月でした。(公財)ひろしま国際センター、HIROSHIMAワールドトーク実行委員会、ひろしまジン大学が共催した今回の授業では、そんな断食明けの集まりにお邪魔してきました。

センターの代表、バセムさんとセンターを利用するイスラム教徒の皆さんが私たちを迎えてくれました。

このセンターには礼拝所、図書館、住居、セミナールームがあります。図書館には色々な言語で書かれたイスラム教に関する本や、イスラム教についてやさしく簡潔に書かれた本があり、貸出もしています。また、セミナールームはどの宗教を信仰する人でも利用することができます。

外からの見た目は普通のビルと変わりません。礼拝の場にお邪魔するので、参加者には長袖と、くるぶしまで隠れるズボン、靴下着用をお願いしました。女性はスカーフで髪の毛を覆います。

まずは参加した学生さんの簡単な自己紹介からスタート。

「海外生活でイスラム教圏のひとと親しくなった」「身近にイスラム教徒の友人がいる」「センターの近くに住んでいる」など参加の理由は様々ですが、共通していたのは「イスラム教そのものや、信仰する人たちが気になるが、普段じっくり知るチャンスがない」という気持ちです。なかには「実は朝から断食に挑戦してます!」という人も。

夕方6時ごろ、開いた窓から心地いい風が通る礼拝室に案内してもらいました。イスラム教の聖地であるメッカの方向の壁に、礼拝時間を知らせるデジタル時計が掛かっています。「礼拝専用の場所はあればベストですが、なくてもかまいません。礼拝は1日5回、3分程度です」とバセムさん。礼拝時間はぴったりでなくても、次の礼拝までの2、3時間のうちに行えば良いそうです。

決められた手順で顔と手足を水で清めてから、礼拝を行います。ちょうどその場にいた3人の教徒の方が礼拝のデモンストレーションをしてくれました。

礼拝のほか、イスラムにはいくつか基本的な教えがあります。断食することで貧しい人の気持ちを理解し、お互いに助け合える社会を作ること。経済的に余裕がある人は一生のうち一回は聖地に行くこと(巡礼)。収入の一部を貧しい人に施すこと(喜捨)、「アッラーが唯一の神であり、ムハンマドは預言者である」ことを宣言すること(信仰告白)。(なお、小さな子ども・妊娠中の女性・病人など、健康上難しいと思われる人は、断食をしなくてもよいとされています)

礼拝の場は性別で分かれているため、参加者も男女に分かれ、それぞれイスラム教徒の方に質問をしたり、お喋りをして日没を待ちます。女性の部屋には子どももたくさんいて、とてもにぎやか!

夜7時を少しすぎたころ、お祈りの呼びかけ(アザーン)がスピーカーから流れると、皆さんは甘いデーツ(なつめやしの実)をかじった後、メッカの方向に向かい礼拝を始めました。私たちは後ろで見学です。

さぁ、礼拝後はごはんの時間です。センターのイスラム教徒の方が作ってくれた中東料理をいただきました。今日のメニューは大きな鶏肉、鶏肉の出汁で炊いたお米、レンズ豆のスープ。とにかくたくさんの人…総勢100人はいたのではないでしょうか。これだけの量を作るためにお昼から準備したそうです。断食中なのでおそらく味見もできないはず…日の出前の食事以来、じつに13、4時間以上ぶりにご飯を口にするであろう皆さん、とても嬉しそうに見えます。隣の人とおしゃべりをしながらおいしくいただきました。

その後、男女に分かれていた参加者が合流し質問タイムです。「日本の生活で困ることは?」という質問には、「(特に女性は)街中でお祈りできる場を探すのが大変」「(豚肉を食べることが禁じられているが)肉だけではなく、薬のカプセルやお菓子にも豚のコラーゲンが使われていることがあり、自分で確認するしかない」「産婦人科のお医者さんは女性が好ましい」などの声が聞かれました。「日本は住みやすい国」と言っておられる一方、それぞれに工夫しながら日本で暮らしています。

来日25年のバセムさんは、自身の経験から「日本人は見慣れない外見の外国人に戸惑うことが多いが、親しい関係になってくると心はあたたかい人が多い」と語りました。ただ、「一般的な日本人は無宗教なので、礼拝や断食の意味は分からないでしょう。義務教育で宗教について学ぶ制度もありません。海外の宗教行事が、日本ではパフォーマンスになっていることもあります。」とも。

一方でバセムさんは、日本の状態は変わりつつあると考えます。湾岸戦争当時、アメリカ合衆国の大統領は「断食月の間だけ空爆を停止する」と宣言しました。海外から多くの労働者を受け入れるようになった現在の日本で、「イスラム教」や「断食月」という言葉を耳にする機会は当時より確実に増えているはず。バセムさんは「このセンターはイスラム教徒だけのモスクではありません。広島の住民にイスラムの文化を知ってほしいという思いから、常に市民に開かれています。」と締めくくりました。

さいごに参加者の皆さんと感想を共有し、終了です。おいそがしいところ、温かく迎えてくださったバセムさん、センターを利用している方々に感謝の気持ちを伝えたいと思います。ありがとうございました!

■レポート/塚野 理加

■写真/大賀 拓己

参加学生さんからのレポート(感想)

・参加前は、モスクはとても神聖でそれ故に厳格なイメージがありましたが、実際行ってみて、日本の公民館や集会所に近いアットホームな印象を受けました。私にとっては、ムスリムの方を尊重する=気を遣って遠慮することでしたしそれを配慮だ