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ひろしま仕事学 ~書く仕事~

2014/09/28

 

好きなこともラクじゃない。だから、追い続ける価値があるのかも。


 仕事のリアルを考える「ひろしま仕事学」の第一弾。参加者を見回してみると、中学生や高校生に交じって、「働く」をもう一度見つめ直したい大人の姿も。「カフェのオーナーになりたい!」「同時通訳をしたい!」「漫画家もいいな」…どうやら若い彼らは必ずしも「書く仕事」を志向しているわけではなさそうだけど、「『書く仕事』ってどんなかな…」と期待を膨らませている様子。窓から外を見ればノホホンと晴れた気持ちのいい空気、始まる前から会場は和気あいあい。そんなゆったりした雰囲気の中で講義は始まりました。さて、新聞記者や編集者、ライターと、漠然と「表現者」としてかっこよく映る「書く仕事人」たち。でも、その実際とはどんなところなんでしょうか。

 先生は、中国新聞社から報道部記者の有岡さん、『TJ Hiroshima』から企画編集長の平谷さん、闘病ドキュメント『がんフーフー日記』執筆者であるフリーライターの清水さんも。まずは、3人の自己紹介を兼ねて「仕事」についてのトークセッションです。ここで話されたのは、この仕事に就いたきっかけや仕事の難しさ、おもしろさなど。具体的な仕事での逸話も聞くことができました。もちろん共通点は多くあります。でも、同じ「書く仕事」なのに違いもたくさんあるようです。たとえば、「書く仕事」へのきっかけとなった想いにしても、「伝える立場で人のためになりたいと思った(有岡)」や「雑誌に憧れて(平谷・清水)」などなど。

 そもそも、新聞記者であれば日々足を使って泥まみれになりながら人の声に寄り添うことが必要だし、雑誌編集なら広告や誌面制作に関わるバランス感覚や情報へのアンテナ張りが、フリーライターなら、日常的に考えや文章をじっくりと深めていく忍耐力も必要でしょう。だから、たとえば「書く仕事のおもしろさ」と一口に言っても、新聞記者目線なら「歴史の転換点に立ち会うこともあるし、記事を書くことで小さくても動きが生まれる。いいことも悪いこともあるけど、出会いや“小さなうねり”があることですね(有岡)」だし、タウン誌編集者なら「『おいしい』や『いい店』っていう主観的な感覚を、読んだ人にもちゃんと伝わるように客観的に書ける具体的な材料を見つけたときは、『これ!』って。理由が見つかったときはちょっと興奮しちゃいます(平谷)」ということに。それがフリーライターになると、「書いていくうちに、腑に落ちることがポロッと出てくることがあって、それは、書かなければ見えないものだったりするんですよね。そういう、自分の知らない“自分”を発見できることでしょうか(清水)」と。まさに三者三様。先生たちもお互いをじいーっと見合って、深くうなずいたり、感心したり。改めて自分の仕事について整理されているようにも見えました。

 でも、そうやって違うひとつずつも、「届けよう」「見つけよう」というある種の共通した想いにつながります。確かに、締切に追われていたり、もしかしたらバッシングもあったり、厳しい世界に違いないでしょう。ここで、食品会社に勤める女性のつぶやきを紹介しましょう。「書くことって、外の解釈や情報を自分というフィルターを通して出すことなんですね。なんか、すごく哲学的」。確かに。そう考えると、とても感動的な仕事なんだとよくわかります。

 ここまで聞いていると、俄然興味が沸いてきます。「大失敗にはどんなことがありますか?」や「『やったー!』と思ったことは何ですか?」などの質問が投げられました。その中に、「『書く仕事』をするには、どんな人であることが理想ですか?」というのもありました。それに対して、有岡さん「ネアカで、引き出しの多い人、ですかね。取材中の雑談から次につながることって多くて、そういう雑談をできる引き出しが多い人が理想だし、そのためには、いろんな経験をしておきたい」。平谷さん「取材相手との信頼関係を築ける人、ですね。全然知らない人にいきなり質問されてもびっくりしちゃうでしょ。やっぱり、ある程度、自分のことを知ってもらって信頼してもらえなければ、相手のコトバを引き出せないんです」。清水さんは「『どんな人ならしゃべりやすいかな?』って考えると、この人に言えばわかってくれそう、と思える相手ですよね」。意外なことに、直接的に「書く」という技術についての言及はありません。「文章力があるかどうか、よりも、何を書くのか、という着眼点が大切」とは平谷さんの言葉ですが、どうやら、書くための材料をどう仕入れるのか、にヒントがありそうです。

 最後に出た質問はお三方の将来の夢について。有岡さん「記者っていう仕事を通じて伝え続けていくこと」。平谷さん「ずっと紙媒体に携わっていると思いますよ」。清水さん「思っていることを書いて、もっといいもの、強いものを作りたい」。私たちからはすでに“夢を叶えた人”に見える3人なのに、清水さん曰く「まだまだ、全然」。講義は、中学生の女の子が言った「好きな仕事もラクじゃないんだなって思いました」という感想で〆。理想と現実との間で揺れるのは決してラクじゃないけれど、それでもなお、おっきな“夢”へ一歩ずつ。「仕事を語れるってかっこいい」。講義の後、多くの人が興奮気味につぶやいていたのでした。


■レポート/西村 さとみ
■写真/久保 勇二

 

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<授業詳細>
 

2014年09月28日(日) 14時00分 ~ 17時00分   

教室:YO-HAKU

 

 

「働くってどういうことだろう?」

過去2回、ジン大で行ってきた授業「はたらくこと~未来キャンパス」。
中学生、高校生、大学生etc…
若者たちに、様々な大人と向き合ってもらうことで夢の選択肢を広げてもらい、
意識改革や成長につなげていこうという授業を、さらにパワーアップして開催します!

広島で自分らしく働く大人と一緒に、
「仕事」や「働くこと」を考える「ひろしま仕事学」第一弾!

今回迎える先生は…
来年に著作『がんフーフー日記』が映画化する作家の清水浩司さん。
「中国新聞」報道部の記者、有岡英俊さん。
タウン誌「TJ Hiroshima」の企画編集長、平谷尚子さん。

広島をベースに活躍する3人の共通点は『書く仕事』。

読み手を引きつける文章を書くプロフェッショナルの皆さんですが、
小説、新聞、雑誌などフィールドが違えば、考え方やスタイルも様々なはずです。
いまの仕事に至る経緯や、働く上で大切にしていること、
仕事のやりがいや悩み、とっておきの執筆テクニック!?など率直にお話しを伺います。

後半は質問タイム。
「仕事」についての質問をぶつけ合いながら、
働くことの意味について、楽しく真剣に考えてみましょう。

進行役は、ひろしまジン大学企画統括でラジオDJ・ライターでもあるキムラミチタが担当。

地元で筆を走らせて働く人達が、今、どんな想いで働いているのか?
自分の「みらい」を考えるヒントが見つかるかもしれませんよ!

※中学生、高校生、専門学校生、大学生対象授業です!!



【授業の流れ】
13:30 受付開始(授業開始の30分前)
14:00 授業開始
1.ゲストトーク「わたしとっての仕事とは」「書く仕事について」
2.全体ディスカッション
16:40 記念撮影・レポート記入
17:00 授業終了

【集合場所】
YO-HAKU

【持ち物】
筆記用具

【入場】
集合場所へは、授業開始時間までに必ず集合して下さい。
なお、10分を超えて遅刻された場合は受付終了となり、授業へ参加することが出来ませんのでご注意下さい。

【交通手段】
お車、自転車でお越しの際は、近隣のパーキングをご利用下さい。

【当日連絡先】
070-5522-9638(ひろしまジン大学事務局)
※緊急のご連絡の場合のみ、おかけ頂きますようお願いいたします。

(授業コーディネーター 古川智恵美)



この授業はマツダ財団(青少年健全育成分野)助成事業です。


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※当授業は無料の学生登録をすることで、どなたでも受講できます。
ご希望の方はお申込画面へお進みください。
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 <先生>

清水 浩司 / フリーライター

1971年、広島県出身。フリーライターとして活動し、現在は広島を拠点に執筆活動を行う。2011年に川崎フーフ名義で発表した闘病ドキュメント『がんフーフー日記』が、『夫婦フーフー日記』として5月30日公開(主演 佐々木蔵之介&永作博美)。現在は雑誌『音楽と人』『広島アスリートマガジン』で連載を行うほか、RCCラジオ「おひるーな」(12:00~14:55)火曜日コメンテーターとしても活躍中。最新刊は名曲にまつわる14編の短編を収めた音楽的散文集『真夜中のヒットスタジオ』(小学館文庫)。

 

 

平谷尚子 / TJ Hiroshima編集部

1976年神奈川県生まれ。広島大学卒業後、編集者に。2008年~2014年タウン誌TJ Hiroshima編集長。現在は誌面制作を行いつつ、雑誌以外の各種制作物を担当。誌面にはペンネーム・山猫として登場している。広島本大賞実行委員、中国ブロック劇王決定戦第3回~第5回審査員、県民投稿型WEBサイト「日刊わしら」編集長

 

 

 

 

有岡 英俊 / 中国新聞社 報道部記者

1976年生まれ。香川県高松市(旧牟礼町)出身。広島修道大学人文学部卒、広島大大学院教育学研究科を修了。教員を志した時期もあったが、学生時代を過ごした広島が大好きになり、地域の魅力や課題を追いたいと中国新聞社を志望。2回目の受験で2002年に入社する。社会経済グループ(現報道部、広島南署・第六管区海上保安本部担当)、山口支社(県警、司法、市政、県政、県教委など担当)、本社整理部、安佐北支局を経て2013年4月から報道部勤務。特定の記者クラブには所属しない遊軍チームに在籍。教育や大学を担当。事件や災害の現場に駆け付けることもしばしば。ネット選挙をテーマにしたり、カープ人気の背景を追ったり…。今だからこそ起きている社会現象としての記事を日々探している。

 

<教室>

YO-HAKU

住所:広島市中区小町3-1サンライズ小町2F
アクセス: 広島電鉄「中電前」から徒歩5分
 

平和大通りに面した緑豊かなロケーションにあるイベントスペース。
さまざまなイベントを発信しています。

 

 

 

カテゴリ:【仕事】
言 語 : 日本語のみ
定 員 :15人

参加対象:中学生、高校生、専門学校生、大学生

 

 

 

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