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ラマダン1日(断食)体験!~わたしたちの知らないイスラムの世界〜

2019/06/01

東広島で体験する、断食明けのゆうべ

 

土曜日の夕方、東広島・西条にある広島イスラム文化センターに、イスラム教徒の方たちが集まりました。イスラム教のカレンダーでは、日の出から日没までのあいだ断食を行う、ラマダンという期間があります。2019年は5月5日から6月4日までの1か月でした。(公財)ひろしま国際センター、HIROSHIMAワールドトーク実行委員会、ひろしまジン大学が共催した今回の授業では、そんな断食明けの集まりにお邪魔してきました。

 

センターの代表、バセムさんとセンターを利用するイスラム教徒の皆さんが私たちを迎えてくれました。

 

このセンターには礼拝所、図書館、住居、セミナールームがあります。図書館には色々な言語で書かれたイスラム教に関する本や、イスラム教についてやさしく簡潔に書かれた本があり、貸出もしています。また、セミナールームはどの宗教を信仰する人でも利用することができます。

 

外からの見た目は普通のビルと変わりません。礼拝の場にお邪魔するので、参加者には長袖と、くるぶしまで隠れるズボン、靴下着用をお願いしました。女性はスカーフで髪の毛を覆います。

 

まずは参加した学生さんの簡単な自己紹介からスタート。

 

「海外生活でイスラム教圏のひとと親しくなった」「身近にイスラム教徒の友人がいる」「センターの近くに住んでいる」など参加の理由は様々ですが、共通していたのは「イスラム教そのものや、信仰する人たちが気になるが、普段じっくり知るチャンスがない」という気持ちです。なかには「実は朝から断食に挑戦してます!」という人も。

 

夕方6時ごろ、開いた窓から心地いい風が通る礼拝室に案内してもらいました。イスラム教の聖地であるメッカの方向の壁に、礼拝時間を知らせるデジタル時計が掛かっています。「礼拝専用の場所はあればベストですが、なくてもかまいません。礼拝は1日5回、3分程度です」とバセムさん。礼拝時間はぴったりでなくても、次の礼拝までの2、3時間のうちに行えば良いそうです。

 

決められた手順で顔と手足を水で清めてから、礼拝を行います。ちょうどその場にいた3人の教徒の方が礼拝のデモンストレーションをしてくれました。

 

礼拝のほか、イスラムにはいくつか基本的な教えがあります。断食することで貧しい人の気持ちを理解し、お互いに助け合える社会を作ること。経済的に余裕がある人は一生のうち一回は聖地に行くこと(巡礼)。収入の一部を貧しい人に施すこと(喜捨)、「アッラーが唯一の神であり、ムハンマドは預言者である」ことを宣言すること(信仰告白)。(なお、小さな子ども・妊娠中の女性・病人など、健康上難しいと思われる人は、断食をしなくてもよいとされています)

 

礼拝の場は性別で分かれているため、参加者も男女に分かれ、それぞれイスラム教徒の方に質問をしたり、お喋りをして日没を待ちます。女性の部屋には子どももたくさんいて、とてもにぎやか!

 

夜7時を少しすぎたころ、お祈りの呼びかけ(アザーン)がスピーカーから流れると、皆さんは甘いデーツ(なつめやしの実)をかじった後、メッカの方向に向かい礼拝を始めました。私たちは後ろで見学です。

 

さぁ、礼拝後はごはんの時間です。センターのイスラム教徒の方が作ってくれた中東料理をいただきました。今日のメニューは大きな鶏肉、鶏肉の出汁で炊いたお米、レンズ豆のスープ。とにかくたくさんの人…総勢100人はいたのではないでしょうか。これだけの量を作るためにお昼から準備したそうです。断食中なのでおそらく味見もできないはず…日の出前の食事以来、じつに13、4時間以上ぶりにご飯を口にするであろう皆さん、とても嬉しそうに見えます。隣の人とおしゃべりをしながらおいしくいただきました。

 

その後、男女に分かれていた参加者が合流し質問タイムです。「日本の生活で困ることは?」という質問には、「(特に女性は)街中でお祈りできる場を探すのが大変」「(豚肉を食べることが禁じられているが)肉だけではなく、薬のカプセルやお菓子にも豚のコラーゲンが使われていることがあり、自分で確認するしかない」「産婦人科のお医者さんは女性が好ましい」などの声が聞かれました。「日本は住みやすい国」と言っておられる一方、それぞれに工夫しながら日本で暮らしています。

 

来日25年のバセムさんは、自身の経験から「日本人は見慣れない外見の外国人に戸惑うことが多いが、親しい関係になってくると心はあたたかい人が多い」と語りました。ただ、「一般的な日本人は無宗教なので、礼拝や断食の意味は分からないでしょう。義務教育で宗教について学ぶ制度もありません。海外の宗教行事が、日本ではパフォーマンスになっていることもあります。」とも。

 

一方でバセムさんは、日本の状態は変わりつつあると考えます。湾岸戦争当時、アメリカ合衆国の大統領は「断食月の間だけ空爆を停止する」と宣言しました。海外から多くの労働者を受け入れるようになった現在の日本で、「イスラム教」や「断食月」という言葉を耳にする機会は当時より確実に増えているはず。バセムさんは「このセンターはイスラム教徒だけのモスクではありません。広島の住民にイスラムの文化を知ってほしいという思いから、常に市民に開かれています。」と締めくくりました。

 

 

さいごに参加者の皆さんと感想を共有し、終了です。おいそがしいところ、温かく迎えてくださったバセムさん、センターを利用している方々に感謝の気持ちを伝えたいと思います。ありがとうございました!

 

 

■レポート/塚野 理加

■写真/大賀 拓己

 

 

2019年6月1日(土)開催

~ラマダン1日(断食)体験!わたしたちの知らないイスラムの世界〜

 

ゲスト:イスラム文化センターのみなさん

アフガニスタン、アフガニスタン、インドネシア、パレスチナ、マレーシアなど 現在広島在住のイスラム文化圏の方々

 

教室:広島イスラム文化センター

 

参加学生さんからのレポート(感想)

 

・参加前は、モスクはとても神聖でそれ故に厳格なイメージがありましたが、実際行ってみて、日本の公民館や集会所に近いアットホームな印象を受けました。私にとっては、ムスリムの方を尊重する=気を遣って遠慮することでしたしそれを配慮だと思っていましたが、思い込みで先回りするのではなく、ムスリムの方と実際に対話をすることの大切さを感じました。

 

・以前はイスラームに対する偏見がどこかにあったように思いますが、我々となにも変わらない一人一人の人間なんだと身近に思えるようになりました。機会を作って、またイスラーム文化センターを訪れたいと思います。

 

・あるイスラム教徒の方に「断食はつらくないですか」と尋ねると,「自分たちには信仰があるからつらくない」との答えが返ってきました。信仰が身体や精神に大きな影響を及ぼしていることを知り,驚くとともに,そのようなこともあるかもしれないとも思いました。1日5回の礼拝は大変な面もあるのでしょうが,そのリズムに体をゆだねる心地よさもあるのではないかと感じました。

 

・(教室となったイスラム文化センターに)小さな子どもがたくさんいて、聞くと子どもを3人とか4人とか持つ人が多かったです。ここだけ少子化問題がなかった。どうしてだろうと考えてしまいました。経済的に大変だから子どもは一人とか考えているほうが、何かに絡め取られてしまっているのかもしれません。今回の体験を通してイスラム教も仏教もキリスト教も根本のところは同じだと改めて実感しました。

 

・バセムさんから断食の意義についてご説明していただき、ムスリムの人々の優しい心に感銘を受けました。他者を、異文化を、100%理解することはできない。それでも、あらゆる彼らにまつわることを知りたい、考えたい、近付きたいという思いの中からでしか理解への道はないのだと思います。これからもイスラム教について、もっと勉強していきたいと思います。

 

・友達からは聞けない具体的に聞けないことが聞けて勉強になりました。実際に西条に住んでいる女性や子供たちと話をすることは興味深かったです。

 

・イスラム文化センター設立経緯や名称に込められた想いなど、興味深く拝聴しました。清浄や礼拝の様子も拝見させていただきありがとうございました。

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